
SES事業の「フォーム営業」の効果的な活用法とは?
SES事業を展開していくには営業活動が欠かせず、中でも押さえておきたいのは、企業のホームページなどにある“問い合わせフォーム”から営業アプローチをかける「フォーム営業」です。
今回は「フォーム営業」の進め方や活用法を取り上げます。
SESの人材の提案先は?
SES事業は、エンジニアを労働力として提供することで成り立つため、人材の提案先を確保しなければなりません。多くの場合、次の3つが候補になります。
・自社開発を行なっている企業
SES業界でエンド企業と呼ばれます。エンド企業には大企業が多く、直接の取引を行なうことができるようになれば、売上がつくりやすくなります。
・SIer(エスアイアー)企業に
エンド企業から開発・運用・保守までを請け負って行なうのがSIer企業です。
・SES企業
協力関係を結び、ビジネスパートナーとなったSES企業を通してエンド企業やSIer企業へ人材を提案することもできます。
これらの企業とビジネスパートナーになるには、営業活動からスタートし、「新規のプロジェクトがないか」「エンジニアが足りているか」といった情報を得ていかなければなりません。新規開拓の営業活動は、他のビジネスと同様に「テレアポ」や「ホームページからの問い合わせ」で進めます。
企業のホームページを活用する「フォーム営業」
新規開拓をする際、以前はテレアポやメール営業が行われていました。しかしテレワークや在宅勤務が進んだことで、現地での対面営業やテレアポの効果が落ちています。出社人数が限られる中、営業対応に時間を取られることを嫌う傾向も出てきています。
また、迷惑メールを避けたりするために、会社のホームページにメールアドレスを記載する企業は格段に減っています。そうした中、注目されるようになってきたのが「フォーム営業」です。
フォーム営業とは、会社のホームページにある問い合わせフォームから新規営業をする手法です。
問い合わせフォーム内で送信したメッセージは、担当者が内容確認をし、担当部門などに振り分けます。この流れを利用し、見込み客にアプローチし、レスポンスをもらうのです。
フォーム営業はメール営業と似ているように見えますが、異なります。メール営業はメールアドレスを知らないとできないため、すでに名刺交換は済んでいる関係にあり、見込み客になっていると言えます。一方フォーム営業は、まったく面識のない企業にアプローチができます。
「営業」と聞くと手間のかかるイメージがありますが、SES業界においてはパートナー企業を増やすことは事業を展開していく上でエンジンとなるので、反応は得やすい傾向にあり、非常に有効な手段と言えます。
フォーム営業の進め方
フォーム営業をする場合、思いつくままに進めていっては成果につながりません。効率的に進めましょう。
STEP1:リストの準備
インターネットで「SES企業」や「SI企業」や「システム開発」などのキーワードで検索してホームページを探すことからはじめます。開拓したい企業規模や分野などから絞り込んでいき、営業リストを作成しましょう。ホームページ上に問い合わせフォームを設けているかどうかも確かめます。
自分たちで作成することは可能ですが、最近ではフォーム営業支援ツールを活用する企業も増えているようです。
STEP2:営業メールの準備
問い合わせフォームに送付するメールの文面を作成します。営業の役目は、顧客のニーズに対して提案を行うこと。「サービスの紹介」「相手側のメリット」「自社の連絡先」に加えて、想定される課題と解決策の提示などを入れ、関心を引きます。
STEP3:問い合わせフォームから送信
リストに沿ってメールを送信します。週末や夜間に送ったものは見落とされる可能性があるため、送信先の営業時間内に送れるとよいでしょう。
STEP4:返信への対応
送信先から返信をもらえたら、スピーディに連絡を取ることが大切。このステップを重視すれば、商談へとつながっていきます。
フォーム営業のメリット
・閲覧率が高い
DMは開封されないケースが多いですが、問い合わせフォームから入ったの連絡には一通りチェックされるため、高確率で閲覧されます。
問合せ内容によって振り分けられるため、決裁者にまで情報が届くことが多く、しっかりとアプローチできるのもフォーム営業の強みです。
・短時間で対応が可能
飛び込み営業や電話営業などと比べて、フォーム営業は1件あたりに必要な時間が短くて済みます。効率性を高めるために、2・3例の文面をフォーマット化しておきましょう。
フォーム営業のデメリット
・送信内容によってはマイナスの印象を与える
送信先にとっては突然連絡を受けることになります。「まったくリサーチができていない」と思われたりしないように、ある程度の企業情報に目を通して丁寧に進めることが大切です。
・クレームにつながる可能性も
中には「営業お断り」としている企業も。断りの文言に気付かずに問い合わせフォームに連絡することがないように注意してください。
フォーム営業はSES事業の特徴と相性がよい手法です。まずはリストづくりからはじめてみましょう。